19xx年8月30日(水)薄曇
■羅臼岳縦走へと一人出発
午前7時半、気分も入れ替えて、YHを発つ。
「これから羅臼岳を縦走するんですよ」
「へえ、馬鹿にのんびりとしてるんだなあ〜」
これは岩尾別YHヘルパーのコメント。午前7時半出発では遅すぎる、ということなのか?
山に向かって行く途中、更に知り合いのホステラー一人にも出会う。YHから去ることを告げる。
「山に登って向こう側へ行く積もりだ。じゃあ」
「おい、死ぬ前に電報打てよ!」
これは本気で言っているのか? 何かを予感してそんなことを口にするのか。
さて、昨日、羅臼岳(1660m)の頂上までは既に一度登り切ったので、勝手を知った二度目の登りは簡単だった。
本日も連泊のホステラー達が登って来ており、羅臼平では皆と一緒に記念写真を撮る余裕もあった。
頂上では持参のおにぎりを一個だけ食べ終えた後、ちょうどそこにいた男達3人、これから硫黄山(1563m)にも登るのだという、彼等達を見送った。硫黄山の頂上へと羅臼岳を下山してゆくような形で、尾根を歩いて行く3人を暫くは見守っていた。
気が付くと、そこには一人取り残されていた。
自分がしなければならないことを思い出した次第だ。
午前11時半、羅臼岳の向こう側へと山を下り始めた。いつもの通り、一人だ。岩尾別YHにはもう戻って来ることはない。
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